今回は、15年間スイス生活をされているNさんの海外生活体験談です。
目次
国際結婚を機にスイスへ移住
山際:スイスというと留学やワーホリではないですよね?移住するキッカケは何だったんでしょうか?
Nさん:2001年からスイスに在住しています。スイスへの移住は、1992年にイギリス留学中に知り合ったスイス人(現在の主人)との結婚を機に始まりました。
様々な言語が飛び交う国スイスでの暮らし
山際:アルプスの少女ハイジから連想される大自然なイメージですが、実際のスイスの暮らし方はどんな感じなのでしょうか?言語はスイス語でしょうか?
Nさん:もうすでに在住15年を過ぎました。スイスはヨーロッパ中央に位置し、九州ほどの大きさの小さい国ですが、4か国の言語が話されています。スイス全土の65%がドイツ語(チューリッヒやベルン周辺)、20%がフランス語(ジュネーブやロザンヌ周辺)、10%がイタリア語(ロカルノ周辺)、残りがロマンシュ語です。
私が生活しているところはドイツ語圏で、チューリッヒから車で30分ほどの場所に位置します。結婚したての頃は、旧市街の彼の住んでいたアパートで3か月ほど暮らしました。1DKで家賃が7万円でした。
その後、同じ町の住宅街にあるマンションに引っ越しました。2LDKで家賃は17万円でした。現在も同じ町の1軒屋の賃貸物件に住んでおりますが、家賃は30万円です。驚かれる方も多いと思いますが、スイスはとても物価が高い国なのです。そのかわり給料も日本と比べると全体的にかなり高いと思います。
スイスでの生活費は想像以上にお金がかかる
山際:物価の高さにビックリです。毎月どのくらいの生活費がかかっていますか?
Nさん:うちは3人家族ですが、1か月の食費は10万円弱です。外食はランチでも1人2,000円から3,000円かかってしまうので、ほとんど特別な時以外しません。光熱費が4万円、電話・インターネット料金は7,000円、携帯電話料金が3,000円、洗剤や衛生用品など2万5千円、健康保険9万円、家賃30万円、美容院、お化粧品3万8千円、交際費3万円、衣料、車の維持費、新聞代その他を含めて、60万ほどの生活費がかかります。
旅行や新しい電化製品、医療代、子供の習い事なども含めると80万から100万かかることもあります。
環境適応能力が試される国
山際:カルチャーショックを受けますね…笑。大変だったことは何でしたか? 言語、生活環境、お金、仕事、食事、価値観の違い トラブルなど、苦労した点などを教えて下さい。
Nさん:スイスで生活していてストレスを感じることが3つあります。1つ目は言葉です。日常生活に支障はありませんが、母国語のように巧みに言葉が操れず、自分の思ったことを不自由なくすべて言い表せないことに強いストレスを感じます。
2つ目は食べ物です。日本食を作るには、チューリッヒまで食材をわざわざ買い出しにいかなければなりません。スイス料理は胃に重くなかなか好きになれません。それでも様々な種類のチーズが食べられるようになってきました。
3つ目は天気です。非常に過ごしやすい夏が短く、寒い氷点下の冬が長いです。1日のうちでも雨が降ったりやんだり、晴れたり曇ったりと落ち着かない日が多いです。出かけるときは折り畳み傘をいつも持っていきます。1番の問題は、一日の温度差です。
夏場は朝と昼で20℃以上違うので、洋服にも注意が必要で、体調を崩しやすいです。
豊かな国だからこその人との関わり方
山際:環境適応能力が試されますね。逆に何か良かった点などありますでしょうか?
Nさん:スイスへ一生住むと決めたら、現地の言葉を習得して地に足をしっかり根付かせて生活したいという思いから、移住後すぐにドイツ語をインテンシブに2年間習いました。
ゲーテインスティチュートのドイツ語小ディプロムも取得し、現地企業にもすぐに就職でき、日常生活にも支障はありません。子供が生まれてからも、スイス人のママ友とたくさん知り合いました。スイスの外国人率は20%で4人に1人は外国人です。難民も多く引き受けています。
私のように自分の意思で住み始める者もいれば、ヨーロッパの国々から仕事を求めてくる者もたくさんいます。私の周りのスイス人は、外国人を拒絶しようとせず、日本はどんな国なのか、日本人はどんな感じの人々なのかと知ろうとしてくれる人が多く、外国人だからといって嫌な思いをしたことがありません。
自分もきちんと努力して、現地の方とコミュニケーションが取れれば受け入れてもらえるんだと実感しています。
少しの言葉と少しの愛嬌を持って懐に飛び込んでいこう
山際:これからスイスで生活したいと思っている方にメッセージをお願いします!
Nさん:もしあなたがスイスに長期にわたり生活していきたいのなら、しっかりと言葉を、特にドイツ語を勉強することをお勧めします。海外生活は楽しいことばかりではありませんが、くよくよせず、前向きにポジティブに考えて生活していくことが大事だと思います。また、現地の気の合う日本人と交流すると、いろいろな情報を得たり、ストレスが発散できますよ。
日本人とつるむことを嫌がる人もいますが、日本人とつるむことでしか得られない情報もたくさんありますので、先入観なく懐にスッと飛び込むことが大事です。
編集後記
アグレッシブというかチャレンジングな人生を送られていて重みのあるインタービューとなりました。
何かの本で読んだのですが、ほとんどの人が死ぬ間際に思う事の1位は「なぜもっと挑戦しなかったんだろう?」という後悔らしいです。
「なぜもっと挑戦しなかったんだろう?」という後悔はしたくないですよね。
この人生は、この一日のことです。「人生」とは「今日一日」の事。あなたは、どんな人生を送りたいですか?
そしてそれは「あなたはどんな今日一日を送りたいですか?」と同じ問いだということ。
理想の人生とは何だろう?悔いのない人生はどういうものだろう?時間を作ってゆっくり考えてみてはいかがでしょうか?
何を得たかよりも、何にチャレンジしたかで人生を語りたいものですね。